はてなブログから移行した記事です。(初出:2022年5月)
スピーカー作りたい
筆者はスピーカー依存症なので定期的にスピーカーを作らないと禁断症状が出ます。最近は土日でさえレポートに忙殺されていたので作れませんでしたが、ようやくゴールデンウィークになって時間ができたのでダイソーの300円スピーカーでバックロードホーンスピーカーを作ることにしました。
300円スピーカー
スピーカーを作るとすると、必ず必要になるスピーカーユニットを摘出するためにダイソースピーカーを購入。スピーカー自作初心者にはダイソースピーカーがおすすめ。安いし、元がゴミ音質だからエンクロージャー(箱の部分)による違いも分かりやすい。
(あと、タイトルに「ダイソー」って入るだけで取っ付きやすいのか、動画や記事が伸びやすいからというメリットもある)
スピーカー分解
裏面からネジを外して300円スピーカーを分解した。ハンダを溶かすのが面倒だったので配線をカットしてスピーカーユニットを摘出。以前購入した時とは微妙に仕様が変わっていて、ハンダの上にグルーガンが盛られていた。
外したユニットがこれ。結構磁石が大きくて、このサイズのPCスピーカーとしては結構いいものが使われている。下の画像は同じような形状のPCスピーカーから取り出したもの。販売価格はダイソーのものの数倍のはずだが、見るからに貧弱なユニットが使われていた。300円でこれよりいいものが使われているのは凄い。
エンクロージャーの製作
エンクロージャーとは
エンクロージャーとは、スピーカーの箱の部分のこと。シンプルな密閉型、バスレフ型、パッシブラジエーターのついたものなど様々な種類がある。今回は市販されているものは少ない「バックロードホーン型」で製作しようと思う。
バックロードホーン型とは、ユニット背面に1~5mほどのホーンがあり、そのホーンを通ってユニット背面から出る逆位相の音が前に出てくるというもの。ホーンの長さが半波長と一致する音は、ユニットの前面から出る音と合わさって増幅される。今回のように小さいユニットだと出しにくい、低音などが増幅されるように設計すれば、小さなユニットや非力なアンプでも迫力の音が鳴らせるはずだ。
バックロードホーンの設計
下にリンクを貼っているサイトを参考にさせて頂きました。
計算例として筆者のものを載せておこうかと思ったけど、紙を家に忘れてくるという痛恨のミス。次帰った時に載せます。 →紛失しました。
計算式を元にエンクロージャーを設計。CADで作るのが面倒だったから手書きでやったら結構ミスしてた。修正の手間を考えたらCADで書いた方が楽だったな。
材料の切り出し
ダイソーの300×400のMDFを6枚購入。300円スピーカーと合わせて990円で1000円札で払いやすいという理由で6枚にしたが、作ってみるとぴったりだった。
必要なパーツを切った。30枚以上あるので手鋸では結構大変。次やるときはテーブルソーとか買おうかな。
加工
表面の板にはスピーカーユニットを取り付ける穴と、ホーンの出口となる穴をあけた。前に作ったときはユニットの穴をあけるのに小さいドリルで大量の穴をあけて、最後に必死でやすりがけをするという手段を使ったので1時間弱かかった。さすがに今回はホールソーを買っておいたので10分で終了。マジでホールソー神。今までの苦労はなんだったのだろう。
他にも、背面のスピーカーターミナル取り付け部分や、内部の配線用の穴などをあけた。
接着
木工用ボンドでMDFを接着。枚数が多いのでそこそこ時間がかかった。手で加工した板なので結構誤差があったので、結構な数の本を載せて圧着。本だけはたくさんあるので重しには困らない。
側面と底面の板以外を接着したところで、配線作業に移る。
配線など
ダイソースピーカーとターミナルの金具をスピーカーケーブルにはんだ付け。ターミナルの取り付けが大変だったので、背面の板を接着する前に配線すべきだった。
これまたダイソーで購入したキルト芯を吸音材として入れた。この時点では少し少なめだったので、後で試聴しながら増やした。
スピーカーユニットはキーボードを分解した時に余ったネジで固定。リユースは環境とお財布に優しい。
接着してしまうと見れなくなるので、写真を撮っておく。ネジ止めも考えたが、隙間が開きそうなので接着することにした。
接着 part2!
側面の板を接着した。こうなってしまうと、中に手を入れることはできないので、接着する前に動作確認は必須。
これでほぼ完成。早速試聴してみよう。
完成&計測
新品のスピーカーユニットで作ったので軽くエージングをした。エージングが必要かは分からないが、やっても悪くなることはないのでとりあえずやった。変化はあったような気がするが、プラシーボ効果かもしれない。
先日、スマホアプリで手軽に周波数特性が計測できると知ったので試してみた。PCでWaveGeneを使って低音から高音まで鳴らし、それをスマホのKRK Audio Toolsで計測。
結果はこんな感じ。小径ドライバーなので、高音に山が出来ているのは当然だろう。8KHz以上はだだ下がりなのは残念。やはりダイソースピーカーで音楽を楽しむことは出来なさそうだ。
また、300Hz前後に山が出来ていることが分かる。300Hzの音の波長は、およそ1.14m。ホーンの長さは1.17m程度なので、位相の反転はできない音域であり、設計上は想定していなかった効果である。共振などの影響かもしれない。
しかし、バックロードホーンの影響らしきものも見ることができる。計算上、逆位相の音をホーンで位相反転できるのは波長の1/2が1.17m程度になる150Hz、3/2波長がそのくらいになる450Hzである。グラフでこれらを確認すると、一応山が出来ている。誤差のように見えるかもしれないが、何度計測しても150Hz、(300Hz、)450Hzで山ができた。
音質
PCスピーカーと置き換えて少し使ってみたが、使用できるレベルの音は出ていると感じた。ダイソースピーカーなんて元の状態ではとても聞けたものではないので大きな進化だ。
少し聞いた感じでは、非常にクリアな音が出ていると感じる。しかし、よく聴くと、少し反響しているかもしれない。低音はフルレンジ一発のスピーカーとしては十分出ていると思うが、少し迫力が足りないと感じる。ホーンをもう少し長くして低音側に寄せてもいいかもしれない。逆に高音は、ドライバーの限界で8Khz程度から出ていないのが気になる。音楽を聴くには役不足だ。
音場は予想してたよりも広い。しかし、スピーカーユニットとホーンの出口が離れすぎていて少し違和感がある。
あまり良い評価はしていないが、ダイソーの300円スピーカーと比較すると、全く別物というレベルまで音が良くなっている。その分普通のスピーカーと比べてしまうため評価が下がっているだけだ。
あとがき
今回は基本に忠実にバックロードホーンスピーカーを製作してみた。あまりお金をかけた訳ではないが、そこそこのスピーカーが作れて、バックロードホーンらしい変化を見ることができたので満足である。次は少し手を加えたバックロードホーンスピーカーを製作したい。
あと、今回手を付けなかったアンプ部分も改造してみたい。時間がないのでいつになるかは分からないが
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